はじめに
ネットワークの監視において、まず設定しておきたいのが死活監視です。対象機器が正常に動作しているかどうかの状態を監視します。ネットワーク監視ソフトウェアを使用することで、手動で監視対象にPing等のコマンドを実行する必要がなく、自動的に状態を取得しアラートを上げることが可能です。
本記事では弊社取り扱いのネットワーク監視ソフトウェア「Checkmk」を使って、まずは基本の死活監視を設定していきます。
Checkmkの死活監視
Checkmkはエージェント型の監視ソフトウェアです。監視対象を「ホスト」、監視項目を「サービス」として追加して監視を行いますが、登録したホストに「エージェント」をインストールすることで詳細な情報を取得できるということが特長のうちの一つです。
ただし、死活監視にはエージェントを必要としません。エージェントのインストールなどの操作は不要です。そして、Checkmkで死活監視を設定する方法はとても簡単で、ホスト(監視対象)を登録するだけです。Pingのコマンドを設定したり、追加の操作は必要ありません。5分ほどで自動でホストの死活監視を開始することができます。
ホストを登録して「PING」サービスを確認する
では実際に登録していきます。
セットアップメニュー>”ホスト”>ホストをクリック
図2の画面ではすでにホストがいくつか登録されておりますが、新規登録する場合は[ホストの追加]ボタンをクリックします。
図3の赤枠「ホスト名」と「IPアドレス」を入力します。今回はエージェントを使用しないので「Checkmk agent / API integrations」の欄はチェックを入れてNo API integrations, no Checkmk agentを選択してください。
死活監視だけを行う場合、この3点以外の情報を入力する必要は特にありません。後程修正することも可能です。入力が完了したら、[保存してサービス設定に移動]ボタンをクリックします。
図4はサービス(監視項目)の自動取得画面です。エージェントインストール後に表示すると監視できる項目の自動検出が始まりますが、今回はインストールしていないため何も表示されません。そのまま右上の[1つの変更]をクリックします。
図5の画面は変更の適用画面です。[選択したサイトでアクティブ化]ボタンをクリックしてください。
図6の赤枠の様に、成功の文字が表示されればOKです。この手順のみで設定はすべて完了となります。
Checkmkは、何か設定変更を行う度にこの作業を必ず行う必要があります。右上に黄色の!マークが表示されている場合は、こまめに実施してください。実施しないと、設定変更やホスト登録などがサイトに適用されません。
では登録したホストを確認してみます。左側のモニター>”概要”>全てのホストを選択すると、登録済のホスト一覧が表示されます。(図7)先ほど登録した「Windows_host」も登録されていることがわかります。ホスト名をクリックすると、監視中のサービス一覧へ遷移します。
サービス一覧を開くと、「PING」というサービスが自動的に取得されていることがわかります。
死活監視のみ実施したい場合であれば、このように5分もあれば簡単に監視を開始することができます。
【補足】
ホストチェックの「Smart PING」とサービスの「PING」
Checkmkの画面は、ホストをクリックするとホスト内で監視中のサービスが一覧で表示されますが、実はホストチェック(死活チェック)というのはサービスとは別に独自に行っており、このホストチェックとサービスチェックによる状態監視はバラバラに動作しています。
■ホストの死活(UP/DOWN)・・・ホストの起動/停止のみ確認するもの。デフォルト6秒間隔で「Smart Ping」という方法で監視している。Smart Pingとは6秒毎にicmp echo requestを自動で送信し、icmp echo replyの返信があればホスト起動中とみなす仕組み。(図7参照)
■サービスの状態(OK/WARN/CRIT)・・・ホストの各状態を監視するもの。PING, CPU, memory使用率など監視項目ごとに作成され、デフォルト1分間隔で状態を取得し監視している。自動作成された「PING」はPingコマンドを使用してホストの状態確認を行う。(図8参照)
Checkmkはホスト登録と同時に、「Smart Ping」によるUP/DOWN検知が自動的にスタートすることになっています。
よくある質問
ここで、本記事で「エージェント不要」「ホスト死活のみ監視」という条件で死活監視手順を説明しましたが、よくある質問をご紹介します。
①ホストの死活を独自で行っているのに、ホスト登録時に自動で「PING」サービスが作成されたのはなぜ?
②このホストにエージェントを登録したらPINGはどうなる?
それぞれ解説します。
ホスト登録時に自動で「PING」サービスが作成されたのはなぜ?
Checkmkはホスト1台につき、1つのサービスが存在することが必須です。そのため、ホスト登録する際に「PING」が作成されたということになります。
ホスト死活チェックは6秒毎にSmart Pingにより行っているため、今回作成された「PING」とは別の動きで同じ死活チェックを行っていることにはなりますが、Smart Pingは詳細なグラフ等は保存しません。単にホストの起動と停止を確認しているだけだからです。詳細に死活監視を行う場合は「PING」を設定しておくと、パケットロスやPingの往復にかかった時間などの監視データをグラフで表示することが可能です。
このホストにエージェントを登録したらどうなる?
エージェントをインストールすると、「PING」ではなく「Check_mk」というサービスが自動登録されます。このサービスはエージェントの状態をチェックするためのサービスで、エージェント監視に必須のサービスです。削除することはできません。
なお、エージェントインストール済のホストに「PING」サービスは自動作成されません。ホスト死活チェックはSmart Pingのみとなります。パケットロスやPing往復時間を詳細に確認しグラフや監視データを残したいという場合は、「PING」というサービスを別途追加することも可能です。
エージェント使用時のその他項目の監視については別のブログでご紹介します!
おわりに
いかがでしたでしょうか。少し文章にすると複雑になってしまいますが、登録自体はとても簡単です。まずはインストール後にホストを登録し、5分で死活監視を設定、そしてどのような画面の見え方なのか、実際に確認してみてください。
Checkmkはフォルダの階層構造を使ってホストを管理することもできます。今回はフォルダを作成せずにホスト登録をしていきましたが、フォルダを使った管理の詳細な説明については過去の記事をご参照ください。
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