PRTG Network Monitor:PRTGで簡単!SNMPを使ったWindows Server監視の始め方

はじめに

PRTG Network Monitor(以降、PRTGと略)とWindows Serverの監視に興味がある方向けに、SNMPを使った監視の手順を紹介します。
この記事を読めば、Windows ServerでのSNMP設定とPRTGでのセンサー設定がわかり、すぐに監視を始められるようになります。

SNMPのメリット

SNMP(Simple Network Management Protocol)は、ネットワーク機器やサーバーを効率よく監視できるシンプルなプロトコルです。PRTGはSNMPに対応しており、Windows Serverの標準機能である「SNMPサービス」を有効にするだけで、すぐに監視を始められます。

たとえば、以下のような項目を手軽に取得できます。

  • システム稼働時間
  • CPU負荷
  • メモリー使用量
  • ディスク空き容量
  • ネットワークインターフェースのトラフィック

PRTGでSNMPを使う主なメリットは以下のとおりです。

  • マルチベンダー対応:SNMP対応機器であればメーカーを問わず監視可能
  • 導入が簡単:Windows標準のSNMP機能を使ってすぐに監視を開始できる
  • 軽量な監視:低負荷で安定した運用が可能

監視対象側のSNMP設定

まずは、監視対象のWindows ServerでSNMPを有効にする必要があります。SNMPサービスをインストールし、その後SNMPサービスの設定を行います。
以下の手順で設定します。

SNMPサービスのインストール

本記事では、Windows Server 2019を使用しますが、Windows Server 2016や2022でも同様の操作が可能です。

  1. 「サーバーマネージャー」を開く
    スタートメニューから「サーバーマネージャー」を開きます。
サーバーマネージャーを開く
図 サーバーマネージャーを開く

  1. 「役割と機能の追加」をクリック
    サーバーマネージャー ダッシュボードの「役割と機能の追加」をクリックします。
サーバーマネージャー-役割と機能の追加
図 役割と機能の追加

  1. 「サーバーの選択」、「機能」をクリック
    「開始する前に」画面で、「サーバーの選択」をクリックします。
    「サーバーの選択画面」が表示されたら、「機能」をクリックします。
サーバーの選択-機能の選択
図 機能の選択
  1. 「SNMPサービス」を選択して追加
    「機能の選択」画面で「SNMPサービス」を選択します。
    確認画面に移動するので「機能の追加」ボタンをクリックして進めます。
    「機能の選択」画面が再表示されるので、「SNMPサービス」が選択されているのを確認し、「次へ(N)」ボタンをクリックします。
サーバーマネージャー-SNMPサービス
図 SNMPサービス選択の確認
  1. インストールオプションを確認し、インストール
    「インストールオプションの確認」画面で内容を確認し、「インストール」ボタンをクリックします。
インストールオプションの確認、インストール
図 インストールの開始

  1. インストールの完了
    インストールが完了したら「閉じる」ボタンをクリックして終了します。
サーバーマネージャー-SNMPサービス-インストール完了
図 インストールの完了

SNMPサービスの設定

SNMPサービスをインストールした後は、その設定を行います。
ここではコミュニティ名として”public”を使用します。コミュニティ名はPRTG側とWindows Server側で一致させる必要があります。

  1. 「サービス」を開く
    サーバーマネージャー内の「ツール」メニューから「サービス」を選択します。
サーバーマネージャー-サービスの起動
図 サービスを選択
  1. 「SNMP サービス」のプロパティを開く
    「SNMP サービス」を右クリックし、プロパティを開きます。
サービス-SNMPサービス-右クリック
図 プロパティを選択
  1. 「セキュリティ」タブで、コミュニティ名を追加
    「セキュリティ」タブ内で、「受け付けるコミュニティ名(N)」に”public”を指定します。
セキュリティタブ
図 セキュリティタブ

コミュニティ名追加
図 コミュニティ名追加

  1. SNMPパケットを受け付けるホストを指定
    「これらのホストから SNMP パケットを受け付ける(T)」ボタンを選択し、PRTGサーバーのIPアドレスまたはホスト名を登録します。
セキュリティタブ-ホスト
図 セキュリティタブ-ホスト

これで、監視対象となるWindows Server側でのSNMP設定は完了です。

PRTGでSNMPセンサーを設定

次に、PRTGでSNMPセンサーを設定します。
PRTGの「センサー」は、監視項目ごとに設定する単位で、たとえば「稼働状況」「通信量」「ディスク空き容量」など、それぞれを1つのセンサーが監視します。
サーバーやネットワーク機器などの「デバイス」に、必要なセンサーを追加することで、状態や異常を自動でチェックできます。
手動でもセンサーの追加は可能ですが、自動検出機能を使用すると簡単に設定できます。
以下では、自動検出機能による手順を紹介します。

自動検出でセンサーを追加する

  1. グループ作成
    メインメニューから「デバイス」を選択し、「自動検出グループの追加」をクリックします。
「自動検出グループを追加」メニュー
図 自動検出グループを追加

  1. 自動検出グループの追加先オブジェクトの選択
    自動検出グループの追加ウィザードが表示されます。ここで、自動検出を行う親オブジェクト(例: プローブやグループ)を選択します。
    ここでは、ローカルプローブを選択します。選択したら[OK]ボタンをクリックします。
自動検出グループを追加-ローカルプローブを選択
図 自動検出グループの追加先の選択

  1. グループ基本設定とデバイステンプレートの選択
    「グループ基本設定」でグループ名を設定し、「自動検出の設定」で「特定デバイステンプレートを使用した自動検出」を選択します。
    ここで「一般的なデバイス(SNMP有効)」などのテンプレートを指定すると、CPU使用率やディスク空き容量などの主要な監視項目が自動的に検出・追加されます。
特定デバイステンプレートを使用した自動検出
図 グループ基本設定

一般的なデバイス(SNMP有効)
図 一般的なデバイス(SNMP有効)の選択

「自動検出のスキャン方法」では「個々のIPアドレス(IPv4)/DNS名の一覧(複数指定可)」を選び、監視対象のWindows ServerのIPアドレスを1行ずつ入力します。「名前解決」では「IPアドレスを使用する」を選択します。

自動検出のスキャン方法
図 自動検出のスキャン方法

「SNMPデバイスの資格情報」は、「ルート」など上位のオブジェクトに設定しておき、それを引き継いで使用する場合、設定は不要です。
「引継ぎ元」ボタンを無効化し、個別に設定することもできます。
どちらの場合も、監視対象側のコミュニティ名等のSNMP設定と合っている必要があります。SNMPのバージョンはv2cを使用します。

SNMPデバイスの資格情報
図 SNMPデバイスの資格情報

デバイス画面に戻るので、自動検出グループが追加されるのを待ちます。

自動検出グループ-追加結果
図 自動検出グループ-追加結果

自動検出が成功すると、「一般的なデバイス(SNMP有効)」デバイステンプレートに含まれる複数のSNMPセンサーが追加されます。

参考として、自動検出で追加されるセンサーの名称と用途を以下に示します。
※実際に追加されるセンサーは、監視対象機器の仕様により異なります。

              表 自動検出で追加されるSNMPセンサー
センサー名説明
SNMP トラフィックSNMPを介してデバイスのポートのトラフィックを監視。センサーはポートごとに追加される。
SNMP CPUの負荷SNMPを介してCPUの負荷を監視。
SNMP ディスク空き容量SNMPを介して論理ドライブの空きディスク容量を監視。センサーは論理ドライブごとに追加される。また、デフォルトでディスクをチェックするためのしきい値が設定されている(*)。
SNMP メモリSNMPを介してシステムのメモリ使用量を監視。このセンサーは物理メモリ、仮想メモリに対して追加される。
SNMP システムアップタイムSNMPを介してデバイスの稼働時間を監視。
PingICMP エコー要求(「ping」)を送信して、その可用性を監視。このセンサーは、SNMPセンサーではないが、自動検出で追加される。
(*)各センサーのステータスはしきい値により決定されます。しきい値の設定、変更は、「PRTG 簡易マニュアル」の「9 閾値の設定」を参照してください。

手動でセンサーを追加する

自動検出で追加されたセンサー以外にセンサーを個別に追加したい場合があります。
この節では、PRTGに手動でセンサーを追加する手順を簡単に説明します。

  1. Web GUIから「デバイス」画面に移動し、センサーを追加したいデバイスの「センサー追加」ボタンをクリックします。
デバイスのセンサー追加ボタン
図 デバイスのセンサー追加ボタン

  1. デバイスへのセンサーの追加

「デバイスへのセンサーの追加」ダイアログが開きます。この画面で、センサーを選択し追加します。
ダイアログ上部では、監視項目、監視対象のシステム、監視方法のオプションでセンサーを絞り込んでいくことができます。

センサーの絞り込み
図 センサーの絞り込み

また、検索欄を使用してセンサーを絞り込むこともできます。ダイアログの青い部分の下に検索欄があります。
ここでは、「SNMP Windowsサービス」センサーを例に説明します。
「SNMP Windowsサービス」センサーは、SNMPを使ってWindowsサーバー上のサービス状態を監視するセンサーです。自動検出では追加されないため、必要に応じて手動で追加してください。
「監視方法は?」セクションでSNMPを選択し、検索欄に「サービス」と入力すると、その下にセンサーの検索結果が表示されます。
ここで、「SNMP Windowsサービス」センサーが見つかるので、そのアイコンをクリックしてセンサーを設定します。

「SNMP Windowsサービス」センサーの追加
図 「SNMP Windowsサービス」センサーの追加

「SNMP Windowsサービス」センサーの設定画面が表示されるので、「センサー基本設定」、「スキャン間隔」を必要に応じて変更します。
「SNMP Windows サービスモニター」セクションで、監視したいサービスを選択します。検索でサービスを絞り込むこともできます。
「作成」ボタンをクリックするとセンサーがデバイスに追加されます。

「SNMP Windowsサービス」センサーの設定
図 「SNMP Windowsサービス」センサーの設定

    

不要なセンサーを削除する

自動検出グループの作成で、自動的にさまざまなセンサーが追加されますが、監視要件によっては不要なセンサーが追加される場合もあります。
例えば、トラフィックセンサーは、不要な論理インターフェイスにセンサーを付けるので削除を推奨します。
ここでは、デバイスからセンサーを削除する方法を説明します。

  1. PRTG Webインターフェースにログインし、「デバイス」画面で対象のデバイスをクリックします。
デバイスの選択
図 デバイスの選択
  1. 「デバイス」画面の「全般」画面が開きます。追加されたセンサーの一覧が表示されているので、削除したいセンサーの行の右端のチェックボックスを選択し、右端の青色のメニューバーのゴミ箱アイコンをクリックします。
センサーの選択
図 センサーの選択
  1. 「オブジェクトの削除」ダイアログで「オブジェクトの削除」ボタンをクリックし、削除を完了します。
オブジェクトの削除
図 オブジェクトの削除

監視結果を確認・活用する

SNMPセンサーの設定が完了したら、監視結果を確認し、運用に活用できます。

「SNMP ディスク空き容量」センサーの確認

ここでは、「SNMP ディスク空き容量」センサーを例に監視結果を確認します。
デバイス画面で、「SNMP ディスク空き容量」センサーをクリックします。
センサーの表示色でその状態を確認できます。緑=正常/黄=警告/赤=エラーを示します。

SNMP ディスク空き容量センサー
図 「SNMP ディスク空き容量」センサーの選択

センサーの「全般」タブ

センサーの「全般」タブでは、現在の値やステータスが一覧できます。

センサー-全般
図 センサーの全般タブ

「空き領域」のメーター表示(チャネルと呼びます)で、ディスク空き容量をすぐに確認できます。図では、空き容量15%となっています。
警告やエラーのしきい値は「チャネル」の編集画面で設定できます。
(*)しきい値の設定、変更は、「PRTG 簡易マニュアル」の「9 閾値の設定」を参照してください。

センサーのタブメニューの紹介とライブデータ画面

センサー画面には複数のタブがあり、さまざまな視点で監視データを確認できます。
    

センサーのタブメニュー
図 センサーのタブメニュー

各タブの機能は以下のとおりです:

タブ機能
ライブデータ直近2時間のデータ推移とセンサー状態を表示
2日/30日/365日それぞれ過去2日、30日、365日のデータと状態を表示
履歴データ任意の期間を指定し、過去のデータと状態のレポートを生成
ログ過去のアクティビティやイベント(状態変化、アラート発生など)を表示
通知トリガーセンサーがエラーや警告状態になった際に通知を実行

以下は、「ライブデータ」タブの画面です。複数のグラフがある場合は、必要なものだけ表示できます。

図 「ライブデータ」タブのグラフ

通知の仕組みと「ステータストリガー」

PRTGには、センサーが特定の条件(ルール)を満たしたときに、自動で通知やアクションを実行する「通知トリガー」という仕組みがあります。
「ステータストリガー」はその一種で、センサーの状態を条件として通知を行います。
たとえば、センサーがエラー状態(ダウン)になった際に、メールやSNMPトラップを自動で送信できます。

以下は、デフォルトで設定されている通知トリガーの画面です。

デフォルトの通知トリガー
図 デフォルトの通知トリガー

デフォルトでは、ツリーの最上位にある「ルート」オブジェクトにステータストリガーが設定されており、すべてのセンサーに継承されます。

ルールは「継続して 600 秒以上、センサーのステータスが ダウン の場合、 管理者にメール通知やプッシュ通知を送信する を実行する」となっています。
センサーが600秒以上赤いダウン状態を継続した場合に、インストール時に登録したメールアドレス宛に送信されます。
通知の詳細な設定や変更方法については、「PRTG簡易マニュアル」の「10 アラート通知設定」を参照してください。

トラブルシューティング:よくあるエラーと解決策

PRTGの設定を行っていて、SNMPセンサーを追加できない、監視が始まらないといった問題が発生することがあります。よくあるエラーとその原因、解決策を簡単に紹介しますので、参考にしてください。

SNMPサービスに関するエラー

原因解決策
SNMPサービスが起動していない。監視対象のWindows Serverの「サービス」で「SNMP サービス」が自動スタートアップになっていること、サービスが実行中であることを確認する。

SNMP接続エラー

原因解決策
UDP 161ポートが通信経路のどこかで拒否されている。
SNMPサービスでPRTGサーバーからの受信が許可されていない。
監視対象側でUDP 161ポートの受信許可を行う。
2章「監視対象側のSNMP設定」の3節「SNMPサービスの設定」の「4. SNMPパケットを受け付けるホストを指定」を確認する。
経路の途中でUDP 161ポートがブロックされていないかを確認する。

認証エラー

原因解決策
コミュニティ名の不一致 (SNMP v1, v2c)
ユーザー名/パスワードの不一致(SNMP v3)
Windows ServerとPRTGの両方でSNMPのバージョンを一致させる。
コミュニティ名(SNMP v1, v2c)やユーザー名/パスワード (SNMP v3)を確認、一致させる。

詳細は、【KB翻訳】「SNMPセンサーが機能しません。どうしたらいいですか?」を参照してください。

おわりに

本記事では、PRTGを使ったWindows ServerのSNMP監視の始め方を紹介しました。
SNMPサービスの有効化からPRTGでのセンサー追加、不要なセンサーの削除まで、一通りの手順を確認いただけたと思います。
この記事が、Windows Server監視の第一歩となれば幸いです。

PRTGは、サーバー、ネットワーク機器、仮想環境、クラウドなどの一元監視も可能なオールインワンソリューションです。
トライアル版・フリー版も用意されています。ぜひご活用ください。

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