Checkmkの豊富なダッシュボード機能について2回に分けてご紹介します。本記事は第2回目です。
はじめに
ダッシュボードは、Checkmkの監視において重要な役割を担う表示機能です。監視対象全体のステータスを一目で把握できるだけでなく、特定の機器のリソース状況を表示したり、負荷の高い順に並べたりすることも可能です。
前回はデフォルトのダッシュボードの種類、またその簡単な表示の編集方法についてお伝えしました。(前回の記事はこちら)本記事では、応用として、ダッシュボードに追加できるいろいろな種類の要素と、その設定方法をご紹介します。2つの記事を参考にカスタマイズして、効率的な監視ができるダッシュボードを作成してみてください。
まずは、前回の記事を参考にレイアウトモードに入り、図1のように不要なウィジェットは「✕ボタン」をクリックして削除してしまいます。これで編集の準備は完了です。レイアウトモードには入ったままにしておいて構いません。

ダッシュボードの追加要素
ダッシュボードではCheckmkで監視中の機器すべての情報を集約して表示することができます。デフォルトの画面のままでも問題ありませんが、整理したい情報、すぐに把握したい内容を分かるようなダッシュボードにカスタマイズすることは、大規模な監視を効率よく運用するためには重要なポイントです。

追加可能な要素はダッシュボードの「追加」メニューをクリックすると確認できます。(図1赤枠)ビュー/グラフ/メトリクス/状態/インベントリ/Checkmk/Ntop/その他 というカテゴリごとにウィジェットが用意されています。ここから必要なものを選択して設定してください。本記事では、ダッシュボードに置いておくと便利な代表的なものをメニューから抽出してご紹介します。
ビュー:他の画面の一部の情報を表示しリンクを貼りたい場合
・既存のビューへのリンク
追加メニュー>ビューカテゴリ>「既存のビューへのリンク」をクリック
表示したい内容のビューを選択します。今回は例として「直近4時間の出来事」を表示するビューを選択します。これを設定しておくことで、直近に発生した異常やイベントのアラートをダッシュボードでまとめて確認することができます。

選択したら「継続する」ボタンをクリックします。

図4の画面では、必要な個所だけ変更してください。何も変更しなくても作成されます。
- カスタムタイトル:任意の文字列を入力(デフォルトのままで問題なければ入力なしでOK)
- コンテキスト/検索フィルター(ホスト/サービス/ログエントリ):単一ホストの情報のみを表示したい、などフィルタリングが必要であればここで調整します。何も入力しない場合は全ての機器の情報が対象になります。
保存すると図5の画面が表示され、作成されたウィジェットが左上に配置されています。

重なっているところはドラッグ&ドロップで移動し、上下矢印でサイズなど調整して完了です。(図6)

追加したウィジェットのタイトル部分「直近4時間の出来事(ダッシュボード用)」はリンクになっており、クリックすると一覧へ遷移します。(図7)

グラフ:特定のホスト・サービスのグラフを表示したい場合
・パフォーマンスグラフ
追加メニュー>グラフカテゴリ>「パフォーマンスグラフ」をクリック
監視中のサービスのグラフであれば何でも表示できます。常に状態を確認すべき機器がある場合や、特に注視しておきたいサービスを設定しておくと良いでしょう。
今回は例として、監視中のサービス数のグラフを表示するという設定をしていきます。3000ライセンス上限としてご利用の場合など、ダッシュボードに表示しておくことで上限を超えていないかどうかいつでも確認できます。(※CheckmkをインストールしているLinux自身をエージェントで監視している必要があります。)

- カスタムタイトル:任意の文字列(デフォルトのままで問題なければ入力なしでOK)
- コンテキスト/検索フィルター(ホスト/サービス):設定必須。表示したいホスト/サービスを選択します。今回はホストはLinuxホストである「Checkmk_test」、サービスは「OMD test performance」を選択。
- グラフ:選択必須。表示したいグラフを選択。一つ上のコンテキスト/検索フィルターを設定すると、このグラフの「Filter」と書いてある下2行のフィルターにも自動的に反映され、グラフ1行目のプルダウンには表示できる内容だけが選択できるようになります。今回はサービス数なので「Number off monitored hosts and services」を選択。
他にも、表示したい時間範囲などグラフの細かい詳細設定を指定できます。任意で設定してください。最低でも赤枠箇所が確認できれば「保存する」ボタンをクリックしてください。

位置など調整して完了です。
メトリクス:特定の値の取得結果を表示したい場合
・Single metric
追加メニュー>メトリクスカテゴリ>「Single metric」をクリック
監視中のサービス数の値を1つ表示するという設定をしていきます。今回は例として、使用率が80%を超えては困る、など常に見ておきたい特定のネットワーク機器のCPU使用率を表示する設定をします。

- カスタムタイトル:任意の文字列(デフォルトのままで問題なければ入力なしでOK)
- コンテキスト/検索フィルター(ホスト/サービス):設定必須。今回はホストは「snmp_tokyo」、サービスは「CPU utilization」を選択。
- グラフ:メトリックは「CPU使用率」を選択。
その他必要な個所あれば修正し、「保存する」ボタンをクリックしてください。

位置など調整して完了です。
・Gauge
追加メニュー>メトリクスカテゴリ>「Gauge」をクリック
Gaugeは「Single metric」と設定方法は同じです。表示の違いはゲージの有無のみのため、設定手順は省略します。

・Top list
追加メニュー>メトリクスカテゴリ>「Top list」をクリック
全ての端末の中でCPU使用率が高い順にTop10を表示する設定をしていきます。

今回は、全体のTop10を表示するため「コンテキスト/検索フィルター」はかけることはできません。設定する項目は以下です。(図14赤枠)
- カスタムタイトル:任意の文字列(デフォルトのままで問題なければ入力なしでOK)
- メトリック:設定必須。「CPU使用率」を選択。
- Ranking order:トップ(上から)か、ボトム(下から)で表示するランキング順を選択。
- Limit to:エントリー数を記載。最大50まで。今回はデフォルトのままトップ10表示とする。
その他必要な個所あれば修正し、「保存する」ボタンをクリックしてください。

位置など調整して完了です。
状態:ホストとサービスの監視結果の全体数を表示したい場合
・Host state summary/Service state summary
追加メニュー>状態カテゴリ>「Host state summary」をクリック
今回は、監視中のすべてのホストのうち、「DOWN状態になっているホストの数」だけを表示する設定を説明します。サービスの場合はホストの部分をサービスに読み替えてください。

- カスタムタイトル:任意の文字列(デフォルトのままで問題なければ入力なしでOK)
- コンテキスト/検索フィルター:ホストのフィルターを選択。全ホストの場合は何も選択しない
- 選択した状態:数えたい状態を選択。今回は「ダウン」を選択
「保存する」ボタンをクリックしてください。

位置など調整して完了です。
Checkmk:全体の状態を確認できるグラフを表示したい場合
・Host statistics / Service Statistics / Event statistics
追加メニュー>Checkmkカテゴリ>「Host statistics」をクリック
このウィジェットは、デフォルト画面にももともと設定されている六角形のグラフです。状態ごとのホスト数、状態ごとのサービス数が表示されるので全体の状態を把握するのに役立ちます。Host statisticsを選択し、設定画面で何も変更せず保存すると以下のグラフが作成されます。(デフォルトで作成されているため手順省略)

その他:お知らせやメモを固定表示したい場合
・Static text
追加メニュー>その他カテゴリ>「Static text」をクリック
何かダッシュボードにメッセージを固定しておく時などに便利です。ダウンタイムのお知らせ、メンテナンスのお知らせ、などを記載しておいても良いでしょう。

- カスタムタイトル:任意の文字列(デフォルトのままで問題なければ入力なしでOK)
- テキスト:表示したい文字列を入力。改行や太字などはHTMLタグが使用できます

位置など調整して完了です。テキスト内容を修正する場合は、またレイアウトモードに変更し、編集ボタンから図19の画面に入り内容を編集してください。

いかがでしたでしょうか。
よく使用されるウィジェットを追加していくだけで、全体の状態、異常なホストやサービスの数、契約数の確認、などこの画面だけで全体の概要が把握できるダッシュボードが作成できました。それぞれのウィジェット(に記載されている数やホスト名など)をクリックすると、監視結果の一覧に遷移しますので、効率よく詳細な監視情報にたどり着くことも可能です。
今回ご紹介したものはよく使われるものだけを抽出したほんの一部ですが、このように様々な要素を追加し、「一目で正常・異常数を把握したい」「問題が発生しやすい機器はトップページで常に状態を確認したい」など、監視の目的にあわせて使いやすいダッシュボードを作成してみてください。
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