文:ジュピターテクノロジー のだ
はじめに
SolarWinds Orionプラットフォーム製品の1つであるNCM(Network Configuration Manager)
はネットワーク機器の設定情報(コンフィグ)を管理することを主な目的とした製品です。
ネットワーク機器が多くなってくると各機器の設定情報を管理するネットワーク管理者の負担が大きくなります。
NCMでは定期的な設定情報の自動バックアップ、コンフィグの世代管理、コンフィグスケジュール変更、コンフィグ変更時の自動通知、などコンフィグ管理の自動化が可能です。
NCMではこの他にネットワーク機器のファームウェア自動更新を行うこともできます。
本ブログではNCMにおいて Cisco IOSのファームウェアを自動更新する方法を紹介します。
Cisco IOS ファームウェアを自動アップグレード
ネットワ―ク機器のファームウェアを更新する時、TFTPサーバーやSCPサーバーを利用して行う場合があります。
例えば Cisco IOSファームウェア をアップグレードする場合、tftpサーバーやscpサーバーにIOSイメージを保存し、デバイスにTELNETやSSHでログインして下記のようなコマンドを実行することによりIOSイメージをデバイスにコピーすることができます。
copy tftp://送信元マシン/IOS保存フォルダ/IOSイメージファイル flash:
NCMをインストールすると SCPサーバー、TFTPサーバーなどのファイル転送サーバーもインストールされます。ファイル転送サーバーにIOSイメージファイルを保存し、NCMが上記のようなコマンドをバックグラウンドで実行することによりネットワーク機器のファームウェアを自動更新します。
Cisco IOSファームウェア(イメージ)をアップロードする手順
ここでは例として Cisco C891F にTFTPサーバーを使用してIOSイメージをアップロードする手順を紹介します。
おおまかな手順としては下記となります。
① IOSイメージをNCMサーバーにインストールされたTFTPサーバーのフォルダに保存する。
② ファームウェアアップグレードテンプレートを選ぶ
③ アップロードするデバイスを選択する。
④ アップグレードを実行する。
① IOSイメージをNCMサーバーにインストールされたTFTPサーバーのフォルダに保存する。
SolarWinds NCMをインストールするとTFTPサーバー、SCPサーバーもいっしょにインストールされます。
NCMサーバーのTFTPサーバーが動いているか確認しましょう。
NCMサーバーにおいて スタート ー プログラム ー SolarWinds ー TFTPserver
TFTP Server service status: Started になっているので動いています。
File – Configure を選択します。
C:\TFTP-RootがRoot Directory になっています。今回はここにIOSイメージを保存します。
WindowsファイアウォールでTFTPサーバーを許可します。
SolarWinds TFTP Server.exe を許可します。
次にNCM画面にてファームウェアのパスを設定します。
設定 ー すべての設定 ー 製品固有の設定 ー NCM設定 ー ファームウェアのアップグレード -アップグレード設定
パスを設定します。C:\TFTP-Root
パスにアクセスするためアカウント情報(ここでは同じサーバーマシン内なのでWindowsアカウント)を設定。[送信]します。
これでTFTPサーバーの準備は整いました。
② ファームウェアアップグレードテンプレートを選ぶ
ファームウェアのアップロードはメーカー、デバイス毎にコマンドが異なります。
NCMではいくつかのファームウェアアップロードテンプレートが用意されています。
マイダッシュボード ー ネットワーク設定 ー ファームウェアアップグレード
を選択し、[+追加] をクリックすると”ファームウェアアップグレードテンプレートの管理”
が現れますのでクリックします。
NCMではCisco、Jupiner、Lenovoのテンプレートが用意されています。
Cisco IOS系では2つのテンプレートがあります。2800/2801 2921
ここでは Cisco IOS software 2921 を使います。
③ アップロードするデバイスを選択する。
再度 マイダッシュボード ー ネットワーク設定 ー ファームウェアアップグレード
操作名を記載し、テンプレートを [Cisco IOS Software 2921] を選択し 次へ
[リポジトリから新しいイメージを選択]にてアップロードするイメージを選択します。
ここでデバイスを選択します。
[データ収集] をクリックします。[続行して確認してください]をクリックします。
空き容量などがチェックされます。
アップグレードオプションは必要に応じて設定してください。
[スクリプトの作成]をクリックします。
左窓でデバイスを選択し、[確認]をクリックします。
[次へ] が有効になるので [次へ]をします。
最後にサマリーが表示されます。
実行時間を指定できます。
すぐに実行してみましょう。[すぐに実行]、 ”はい” を入力後に[終了]します。
10分程度で終了。履歴にログが記載されます。
bootがダウンロードしたファームウェアに変わっていることを確認します。
今回は1台でしたが多数のネットワーク機器のファームウェアを更新する際は、まずは1台でお試し頂き問題ないようあれば複数台で実施してください。
さいごに
今回はネットワーク統合監視アプリケーションSolarWinds社 Network Configuration Manager(NCM)によるファームウェア自動更新を紹介しました。
NCMはSolarWinds社Orion プラットフォームの1製品です。NCMには今回紹介した以外にもたくさんの機能があります。Orion プラットフォームにはNCM以外にもいくつかの製品があります。下記にOrion プラットフォーム製品についての紹介ページがあります。
NCM:Network Configuration Manager
NPM:Network Performance Monitor
NTA:Network Traffic Analyzer
また下記はOrionプラットフォーム製品ではありませんがデバイスの検出とネットワーク構成図の作成を自動化する Network Topology Mapper(NTM)の紹介ページです。
SolarWinds社の製品にご興味のある方は、以下のリンクから弊社までお問い合わせください!