【SolarWinds NCM】showコマンドで表示される各種情報を自動保存する

文:ジュピターテクノロジー のだ

はじめに

SolarWinds Orionプラットフォーム製品の1つであるNCM(Network Configuration Manager)
はネットワーク機器の設定情報(コンフィグ)を管理することを主な目的とした製品です。

ネットワーク機器が多くなってくると各機器の設定情報を管理するネットワーク管理者の負担が大きくなります。
NCMでは定期な設定情報の自動バックアップ、コンフィグの世代管理、コンフィグスケジュール変更、コンフィグ変更時の自動通知、などコンフィグ管理の自動化が可能です。

しかしながらNCMをコンフィグ管理以外の目的にご使用することもできます。

NCMではネットワーク機器で良く使われる show コマンドの出力結果を定期的に保存することが可能です。
以前あるお客様からネットワークトラブルが発生した際に、ネットワーク機器の任意のshowコマンドの結果を定期的に保存したいとのご要望がありました。
任意のshowコマンドの結果を定期的に保存することはトラブルシュートの一助になるかと思います。

本ブログではNCMにおいて 任意の Showコマンド の結果を定期的に保存する方法を紹介します。

SHOWコマンドで表示される内容を定期的に保存

NCMではSSHやTELNETなどのターミナルソフトでの操作をバックグラウンドで自動的に行います。

例えばあるCisco機器のコンフィグのバックアップは下記のコマンドを実施しています。

show running-config (ランニングコンフィグ)
show startup-config (スタートアップコンフィグ)

このコマンドを実行した際のデバイスからの応答がコンフィグ情報となるのでNCMは応答をテキスト保存します。

ところでshowコマンドはこの他にいろいろな情報を表示できます。

一例であげますと
 show ip route  (ルーティングテーブル)
 show arp    (ARPテーブル)
 show interface (インターフェイスのステータスおよび設定)
などです。その他、showコマンドでは多様な情報を表示できます。
これらの一例の情報はその時々で変化する情報です。
このような刻々と変わる内部情報を定期的に保存することはトラブルシュートの一助になるかと思います。

それでは任意のshowコマンドの結果を保存する具体的な方法を紹介します。

NCMで任意のshowコマンドの結果を保存する手順

ここでは例として show arp を定期的に保存する方法を紹介します。

おおまかな手順としては下記となります。

① 対象デバイスのシステムオブジェクトIDを確認する。
② デバイステンプレート一覧から対象デバイスに適用されているテンプレートを特定する
③ 適用されているテンプレートをコピーする。新しいテンプレートの名前を付ける。
④ 新テンプレートにshow arp の定義を追記する。
⑤ 対象デバイスの適用テンプレートを新テンプレートにする。
⑥ コンフィグタイプ ARP を追加する。
⑦ 定期的にshow arp を行うジョブを作成し実行する。

①対象デバイスのシステムオブジェクトIDを確認する

まずは対象デバイス(ノード)の詳細を確認します。
このデバイスのシステムオブジェクトIDは 1.3.6.1.4.1.9.1.1858 です。
1.3.6.1.4.1.9.1.1858 は ciscoC891FK9 です。


②デバイステンプレート一覧から対象デバイスに適用されているテンプレートを特定する

NCMにはネットワーク機器のCLIコマンド定義を記載した、いわゆるコマンドテンプレートが多数用意されています。

1.3.6.1.4.1.9.1.1858 (ciscoC891FK9)に適用されているテンプレートを探します。
システムオブジェクトIDをもとに探します。
システムオブジェクトIDと同じテンプレートが無い場合は、上位桁からたどって最も合致しているテンプレートが適用されています。

1.3.6.1.4.1.9.1.1858 (ciscoC891FK9)のデバイステンプレートはないため、上位桁から最も合致するのは赤枠で示す CiscoIOS 1.3.6.1.4.1.9 が適用されています。

③適用されているテンプレートをコピーする。新しいテンプレートの名前を付ける。
④新テンプレートにshow arp の定義を追記する。

CiscoIOS 1.3.6.1.4.1.9 を☑してコピーをクリック。
デバイステンプレートのコピー の画面になります。
テンプレート名を変更します。 ここでは ”CiscoIOS show arp 追加” とします。
ARP定義を追記して保存します。<Command Name=”ARP” Value=”arp”/>

⑤対象デバイスの適用テンプレートを新テンプレートにする。
ノードの編集画面にてCLIデバイステンプレートを ”CiscoIOS show arp 追加” にします。

コンフィグタイプ ARP を追加する。

NCMでは保存するコンフィグタイプはデフォルトではRunning、Startup、Device Stateがありますが、ここにARPを新規追加します。
これによりARPもRunningやStartupと同じコンフィグの1つとして扱われます。

NCMではコンフィグの最短長の初期値を11行としています。
11行以下のコンフィグは異常とみなします。
しかしARPテーブル情報では11行以下も考慮する必要があるため、最短長を1行にします。

⑦定期的にshow arp を行うジョブを作成し実行する

最後に show arp を実行するジョブを作成します。
ジョブタイプは ”デバイスからコンフィグをダウンロード”
スケジュールタイプは 詳細設定 にすることで CRON式 で指定可能です。
ここでは10分ごとにしました。(分を 0,10,20,30,40,50 で指定)


それでは保存された情報を見てみましょう。

マイダッシュボード ー コンフィグ設定 ー コンフィグ管理 
kn58 にて ARP が10分毎に保存されています。(4/22 15:50より)


ARPを開いてみましょう。

ここでは実行間隔を10分とかなり短くしています。
リソース消費の点から必要最低限の台数としてください。
コンフィグ管理画面 で確認できるファイル数ですが、NCMの初期設定では各機器のファイル数は毎日0時に30ファイルのみ残しそれ以上古いファイルは削除します。(残すファイル数は変更可能です)
それとは別に全ての 出力ファイルは下記フォルダに各機器毎に各日フォルダに存されています。

C:\ProgramData\SolarWinds\NCM\Config-Archive

さいごに

今回はネットワーク統合監視アプリケーションSolarWinds社 Network Configuration Manager(NCM)による任意の show コマンドの結果を定期的に保存する方法を紹介しました。

本ブログでは ARPテーブルの例でしたが、他の show ●● でも同じ要領で実現可能です。

NCMはSolarWinds社Orion プラットフォームの1製品です。NCMには今回紹介した以外にもたくさんの機能があります。Orion プラットフォームにはNCM以外にもいくつかの製品があります。下記にOrion プラットフォーム製品についての紹介ページがあります。

NCM:Network Configuration Manager
NPM:Network Performance Monitor  
NTA:Network Traffic Analyzer 

また下記はOrionプラットフォーム製品ではありませんがデバイスの検出とネットワーク構成図の作成を自動化する Network Topology Mapper(NTM)の紹介ページです。

NTM:Network Topology Mapper

SolarWinds社の製品にご興味のある方は、以下のリンクから弊社までお問い合わせください! 

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