この記事では、ネットワーク監視ソフトウェア「PRTG Network Monitor」(以下、PRTG)で、しきい値監視とアラート通知を設定する方法を解説します。
文:ジュピターテクノロジー やすだ
※本記事に掲載されている商品名・サービス名などは、各社の商標または登録商標です。
はじめに
本記事は前編・後編の2回構成です。
- 前編:PRTGにおけるアラート発生から通知までの仕組み
- 後編:制限値(しきい値)や通知設定などの実際の設定方法
本記事では、前編で解説した仕組みに沿って、制限値(しきい値)、通知テンプレート、通知トリガーを設定します。前編をまだ読んでいない場合は、先にご覧ください。
▶ 【前編】~異常検知から通知までの仕組みを理解する~
設定する項目
前編で説明したとおり、PRTGでしきい値監視を行い、アラート通知を受け取るには、以下の設定を行います。
- センサーのチャネルに制限値(しきい値)を設定する
- 通知テンプレートに通知方法や宛先を設定する
- センサーの通知トリガー(ステータストリガー)を設定する
制限値(しきい値)をセンサーのチャネルに設定
まずは、しきい値にあたる「制限値」をセンサーのチャネルに設定します。
この記事では、CPU使用率を監視する「SNMP CPU の負荷」センサーを例に設定します。
設定するチャネルを検討
「SNMP CPU の負荷」センサーには各CPUコアごと、およびその合計(平均)のCPU使用率を監視するチャネルがあります。

ここでは、「合計」チャネルに制限値を設定します。
ヒント:
複数のチャネルに制限値を設定できます。設定したチャネルのいずれかで制限値超過が発生すると、センサーのステータスが変化します。
CPU使用率が80%を超えた場合に「警告(黄色)」、90%を超えた場合に「ダウン(赤)」になるように設定します。
制限値の設定手順
次の手順で「合計」チャネルに制限値を設定します。
- デバイスツリーでセンサーをクリックし、センサーの「全般」画面に移動
- 「合計」チャネルの「<歯車アイコン>チャネル設定」をクリック
- 項目「制限値」で「制限値に基づいてアラートを有効化」をチェック
エラー上限:90、警告上限:80を入力 - 任意で、「エラー時の出力メッセージ」、「警告時の出力メッセージ」を入力
- 「適用」または「OK」をクリックして設定を保存


各設定項目について、説明します。
エラー / 警告 上限 / 下限
各項目とセンサーステータスの変化は次のようになります。
| 設定項目 | 条件 | センサーステータス |
| エラー上限 | 設定値を超過 | ダウン(赤) |
| 警告上限 | 設定値を超過 | 警告(黄色) |
| 警告下限 | 設定値未満 | 警告(黄色) |
| エラー下限 | 設定値未満 | ダウン(赤) |
上限と下限は同時に設定できます。
ヒント:
警告とエラーの両方の条件を満たした場合は、「ダウン(赤)」ステータスへの変化が優先されます。
エラー / 警告時の出力メッセージ
「エラー時の出力メッセージ」、「警告時の出力メッセージ」では、センサーに表示させる追加メッセージを設定できます。
制限値を超過したことを示す既定のメッセージに続き、追加メッセージが表示されます。

「マルチ編集」で複数センサーに一括で設定
「マルチ編集」機能を使用すると、複数のセンサーのチャネルへ同じ制限値を一括で設定できます。
ただし、一括設定できるのは同じセンサータイプのセンサーに限られます。
「SNMP トラフィック」センサーを例にした設定方法を、次の記事で紹介しています。
※ブログではチャネルの「データ」設定を一括変更していますが、「制限値」も同じ手順で設定できます。
■ネットワークアセスメント入門:「PRTG」で帯域幅を見える化【応用編】【使用率(%)による監視】
これで、チャネルに設定した制限値(しきい値)による監視設定が完了しました。
チャネルの値が指定した条件を満たすと、センサーのステータスが変化し、アラートが発生します。
次に、アラート発生時に通知を実行する「通知トリガー」と「通知テンプレート」を設定します。
デフォルトの「通知トリガー」と「通知テンプレート」
ここからは、デフォルトの通知トリガーと通知テンプレートの設定を解説していきます。
「Root」の通知トリガー設定
「Root」と継承
デフォルトでは、「通知トリガー」はPRTGのツリー構造の最上位オブジェクトである「Root」に設定されています。
「Root」に設定した通知トリガーは、ツリー構造の配下へ継承(設定が引き継がれる)されます。
そのため、ツリーのどこかのオブジェクト(グループ、デバイス、センサー)で継承を無効にしない限り、「Root」の通知トリガー設定が継承されます。
新たに追加したデバイスやセンサーにも、デフォルトではこの設定が継承されます。
また、Rootの通知トリガーを変更すると、その設定を継承しているすべてのセンサーにも反映されます。
また、継承を無効化したオブジェクトで、新たに通知トリガーを設定し、そのオブジェクトの配下に継承させることもできます。

ヒント:
継承した通知トリガーとは別に、オブジェクトごとに通知トリガーを追加できます。追加した通知トリガーは継承設定と並行して動作します。
例えば、「システム正常性」センサーには、Rootから継承した通知トリガーとは別に、センサー固有の通知トリガーが設定されています。
3行の通知トリガー設定
通知トリガーは3行で構成されています。以下は実際の設定です。
ステータストリガー(ID: 1)
- 継続して 600 秒以上、センサーのステータスが ダウン の場合、 管理者にメール通知やプッシュ通知を送信する を実行する
- 継続して 900 秒以上、センサーのステータスが ダウン の場合に、通知なし を実行し、0 分ごとに繰り返す
- センサーステータスがダウンでなくなったときに、 管理者にメール通知やプッシュ通知を送信するを実行する

1行目が基本となる設定です。
2行目は一定時間経過後のエスカレーション通知と繰り返し通知、3行目は復旧通知を行うための設定です。
1行目の通知トリガー 前半
1行目の設定を見てみます。
- 継続して 600 秒以上、センサーのステータスが ダウン の場合、 管理者にメール通知やプッシュ通知を送信する を実行する
前半はセンサーのステータスと経過時間が条件として設定されています。

「継続して600秒以上」は、センサーがダウン状態になってから600秒以上経過した場合を意味します。
例えば、スキャン間隔が60秒であれば、およそ10回連続でダウン状態が続いた場合に通知条件を満たします。
一時的な障害では通知せず、ダウン状態が継続した場合に通知する設定になっています。
この継続時間は変更できます。変更方法は後ほど紹介します。
1行目の通知トリガー 後半
後半は実行する通知テンプレートが指定されています。

「管理者にメール通知やプッシュ通知を送信する」は、PRTGでデフォルトで用意されている通知テンプレートです。
通知テンプレートの設定については後ほど解説します。
2行目の通知トリガー
2行目は、一定時間経過後のエスカレーション通知や繰り返し通知のための設定です。
1行目とは別の通知テンプレートを指定できます。なお、この設定は1行目の通知トリガーが実行された後にのみ動作します。
デフォルトでは通知テンプレートの指定は「通知なし」となっており、2行目ではアラート通知は実行されません。

3行目の通知トリガー
3行目は復旧通知を行うための設定です。
1行目とは別の通知テンプレートを指定できます。
なお、通知条件は「アップになったこと」ではなく、「1行目で指定したステータスではなくなったこと」です。
そのため、「ダウン」から「アップ」だけでなく、「警告」へ変化した場合も通知テンプレートが実行されます。

このように、デフォルトの通知トリガー設定では、1行目と3行目の条件で、通知テンプレート「管理者にメール通知やプッシュ通知を送信する」が実行されます。
1行目では、「ダウン」ステータスが600秒以上継続した場合にアラート通知が実行されます。さらに、1行目の通知が実行された後、「ダウン」ステータスでなくなった場合にも、通知テンプレートが再度実行されます。
デフォルトの通知テンプレート
Rootの通知トリガーで指定されている通知テンプレート「管理者にメール通知やプッシュ通知を送信する」では、次の通知方法が設定されています。
- PRTG管理者ユーザーへメール通知する
- PRTG管理者ユーザーへプッシュ通知する
実際の設定を確認します。
通知テンプレートは、「通知テンプレートオブジェクト」として設定されています。
次の手順で通知テンプレートオブジェクトを確認できます。
- メインメニュー>設定>アカウント設定>通知テンプレート

「管理者にメール通知やプッシュ通知を送信する」オブジェクトをクリックして設定画面を開きます。
ヒント:
通知トリガー設定で通知テンプレート部分をクリックすることでも、設定画面へ移動できます。

項目「メールを送信」と「プッシュ通知を送信する」のチェックボックスにチェックが入っています。


このように、通知テンプレートでは実行する通知方法を設定します。
複数の通知方法にチェックを入れた場合は、それぞれの通知方法が並行して実行されます。
「メールを送信」の設定
「メールを送信」では「受信ユーザー」として「PRTG System Administrator」が指定されています。
このユーザーはデフォルトのPRTG管理者ユーザーで、このユーザーのメールアドレスには、インストール時に入力したメールアドレスが設定されています。
そのため、デフォルトではインストール時に入力したメールアドレス宛にアラート通知が送信されます。
「受信者メールアドレス」に直接メールアドレスを追加することもできます。
その他の項目については、「<iマークアイコン>」から表示できるヘルプも参照してください。

※メール通知を利用するには、あらかじめSMTPの設定が必要です。設定方法は簡易マニュアルをご確認ください。
「プッシュ通知を送信する」の設定
この設定は、PRTGのAndroid・iPhone向けアプリへプッシュ通知を送る設定です。
プッシュ通知を受け取るにはアプリのインストールと設定が必要です。
詳しい設定方法は、次のブログで紹介しています。
■スマホの「プッシュ通知」でいつでもアラート確認!「PRTG」のモバイルアプリでネットワーク監視
デフォルトのアラート通知のまとめ
デフォルトでは、センサーが600秒以上ダウンステータスを継続すると、PRTG管理者ユーザー(インストール時に入力したメールアドレス)宛てにメール通知と、アプリを準備していればプッシュ通知によるアラート通知が実行されます。
また、その後センサーがダウンステータスでなくなった場合にも、同様のアラート通知が実行されます。
このデフォルト設定のままでも利用できますが、運用に合わせて変更することができます。
通知テンプレートの変更
まずは通知テンプレートのカスタマイズと新規作成を行います。
デフォルトの通知テンプレートをカスタム
デフォルトの通知テンプレートをカスタムし、アラート通知メールの送信先を追加します。
設定項目「受信者メールアドレス」に直接メールアドレスを追加して保存します。
- メインメニュー>設定>アカウント設定>通知テンプレート
- 「管理者にメール通知やプッシュ通知を送信する」オブジェクトをクリック
- 項目「メールを送信」の「受信者メールアドレス」にメールアドレスを追記
※カンマ区切りで複数アドレスを入力可能 - 保存をクリック
ヒント:
「受信ユーザー」と「受信者メールアドレス」は並行動作します。「受信者メールアドレス」に入力した宛先のみにメール通知を送信する場合は、「受信ユーザー」を「なし」に変更します。


通知テンプレートの新規作成
通知テンプレートを新規作成します。
通知トリガーの2行目で別の宛先へ通知する場合や、特定のグループ・デバイス・センサーでRootからの継承をやめ、個別の宛先へ通知する場合に使用します。
次の設定手順で新規作成します。
- メインメニュー>設定>アカウント設定>通知テンプレート
- 「<+アイコン>(通知テンプレートの追加)」をクリック
- テンプレート名に任意の名称を入力
- 「メールを送信」のチェックボックスにチェックを入れる
- 「受信者メールアドレス」に宛先メールアドレスを入力
- 保存をクリック

通知トリガーの変更
Rootオブジェクトの通知トリガーを変更する方法と、継承を停止してセンサーへ通知トリガーを新規に設定する方法を紹介します。
デフォルトの通知トリガーの変更
デフォルトではダウンの継続時間が「600秒以上」となっています。これを「60秒」に変更し、スキャン間隔が60秒のセンサーでは、2回連続でダウンになるとアラート通知が実行される想定です。
- デバイスツリーで「Root」オブジェクトをクリック
- 「通知トリガー」タブをクリック
- アクション欄の「<鉛筆アイコン>(トリガーの編集)」をクリック
- 1行目を「継続して 60 秒以上」に変更
- アクション欄の「<チェックマーク>(トリガーの保存)」をクリック


通知トリガーの追加
特定のセンサーで、Rootからの通知トリガーの継承をやめ、個別の通知トリガーを設定します。
ここでは、1行目の継続時間を0秒とし、ダウンになるとすぐにアラート通知を実行するよう設定します。また、2行目では10分ごとの繰り返し通知を設定します。
- 設定するセンサーをクリック
- 「通知トリガー」タブをクリック
- 「<+アイコン>」から「ステータストリガーの追加」をクリック
- 各行を以下のように設定
— 継続して 0 秒以上、センサーのステータスが ダウン の場合、 管理者にメール通知やプッシュ通知を送信する を実行する
— 継続して 600 秒以上、センサーのステータスが ダウン の場合に、管理者にメール通知やプッシュ通知を送信する を実行し、10 分ごとに繰り返す
— センサーステータスがダウンでなくなったときに、 通知なし を実行する
※繰り返し設定は、過剰なアラート通知を引き起こす場合があります。運用に合わせて調整してください。 - アクション欄の「<チェックマーク>(トリガーの保存)」をクリック
- 「親オブジェクトから継承可能な通知トリガー」で「上で定義された通知トリガーのみを使用する」をチェック※このチェックを入れると、Rootから継承している通知トリガーは無効になります。チェックを入れない場合は、継承した通知トリガーと追加した通知トリガーが並行して動作します。



例えば、グループでこの設定を行うと、その配下のセンサーはRootの通知トリガーを継承せず、グループに追加した通知トリガーを継承するようになります。
あらかじめ通知先ごとにグループを作成しておくと、継承を利用して通知トリガーをまとめて管理できます。
まとめ
本記事では、PRTGの制限値(しきい値)、通知トリガー、通知テンプレートの設定方法を紹介しました。
以上で、PRTGのしきい値監視とアラート通知の基本設定は完了です。
運用に合わせて制限値や通知設定を調整し、監視環境を構築してください。


