PRTGのしきい値監視とアラート通知【前編】~異常検知から通知までの仕組みを理解する~

この記事では、ネットワーク監視ソフトウェア「PRTG Network Monitor」(以下、PRTG)で、しきい値監視を行った際の異常検知からアラート通知までの仕組みと、設定方法を解説します。
しきい値監視を利用しない場合でも、PRTGでどのようにアラートが発生し、通知されるのかを理解したい方にも役立つ内容です。

文:ジュピターテクノロジー やすだ
※本記事に掲載されている商品名・サービス名などは、各社の商標または登録商標です。

はじめに

本記事は前編・後編の2回に分けて解説します。

PRTGの「センサー」「チャネル」「通知トリガー」「通知テンプレート」の仕組みをすでに理解している場合は、後編から読んでも問題ありません。
【後編】~制限値・通知トリガー・通知テンプレートを設定する~

PRTGのセンサーとアラート

最初に、PRTGがどのように監視を行い、異常を検知するのかを、「センサー」と「アラート」を中心に説明します。

PRTGのセンサー

PRTGはセンサーという単位で監視を実行します。
センサーはスキャン間隔ごとに監視対象から値を取得し、監視結果を保存します。
センサーにはステータスがあり、正常時は「アップ(緑)」になります。

センサー単位で監視し、状態を色で表示

センサーのステータスとアラート(警報)

一般的に、ネットワーク監視では、監視対象の異常を検知した状態を「アラート」「アラーム」「警報」などの用語で表現します。
本記事では、これらの異常検知状態をまとめて「アラート」と表現します。

PRTGでは、センサーが値を取得できない場合や、制限値(しきい値)の超過、ルックアップ定義などによって異常を検知すると、センサーのステータスが「警告(黄色)」「ダウン(赤)」などに変化し、アラートが発生します。※()内は、センサーの表示上の色

PRTGのGUIでは、これらのステータスのセンサーを「警報」として表示します。
発生したアラートは、GUIの「新着警報」や「警報」タブから確認できます。

アラートが発生すると「新着警報」が表示される

「警告(黄色)」「ダウン(赤)」は「警報」として表示


※PRTGのセンサーには「ダウン(一部)」「ダウン(うち認識済)」「異常検出」などの警報ステータスもありますが、本記事では割愛します。

センサーのチャネルと制限値(しきい値)

センサーは「チャネル」という詳細な項目を持っています。
例えば、「SNMP CPU負荷」センサーではCPUコアごとの使用率や合計使用率、「SNMPトラフィック」センサーでは受信・送信・合計トラフィックなどが、それぞれチャネルとして表示されます。

「SNMP CPU負荷」センサーはコアごと、合計使用率のチャネルを持つ
「SNMPトラフィック」センサーは合計、受信、送信トラフィックのチャネルを持つ


一般的に「しきい値」と呼ばれる監視条件を、PRTGでは「制限値」と呼びます。
制限値はチャネル単位で設定します。

ヒント:
「SNMP ディスク空き容量」センサーなど、制限値がデフォルトで設定されているセンサータイプもあります。

「空き領域」チャネルに制限値(しきい値)が設定済み

「警告」と「エラー」の制限値

制限値には「警告」と「エラー」の2種類があります。
設定した制限値を超過すると、センサーのステータスが以下のように変化します。

  • 警告:警告(黄色)
  • エラー:ダウン(赤)
制限値を超過すると、センサーのステータスが変化

PRTGでは、センサーのステータス変化によって異常を表現し、その状態をGUI上の「警報」として表示します。
これにより、管理者はPRTGの画面から発生中のアラートを確認できます。
ただし、管理者が常にPRTGの画面を確認しているとは限りません。
そこで利用するのが「アラート通知」です。

PRTGのアラート通知、「通知トリガー」

アラートとアラート通知

一般的に、ネットワーク監視では、発生したアラートをメールなどで管理者へ知らせる仕組みを「アラート通知」と呼びます。
PRTGでも、メールや警告灯(パトライト)の鳴動などを利用して、発生したアラートを通知できます。

PRTGの「通知トリガー」

PRTGでは、アラート通知を実行するために「通知トリガー」機能を使用します。
センサーが通知トリガーで設定した条件を満たすと、アラート通知が実行されます。
本記事では、通知トリガーの一つである、センサーのステータス変化を条件とする「ステータストリガー」を紹介します。

ヒント:
通知トリガーには、ステータストリガー以外にもさまざまな種類があります。
まずは、PRTGのアラート通知の基本となるステータストリガーから理解するとよいでしょう。

ステータストリガーと「通知テンプレート」

ステータストリガーは、センサーのステータス変化を条件としてアラート通知を実行する、通知トリガーの一種です。
例えば、次のような通知が基本的な使い方です。

  • センサーが「ダウン(赤)」に変化した際に、管理者へメール通知する
  • センサーが「警告(黄色)」に変化した際に、警告灯(パトライト)を鳴動する

通知方法や宛先などは、「通知テンプレート」としてあらかじめ設定します。
ステータストリガーでは、実行する通知テンプレートを指定します。

PRTGにはデフォルトで「管理者へメール通知やプッシュ通知を送信する」通知テンプレートが用意されており、デフォルトのステータストリガー設定で利用されています。

デフォルトのステータストリガー

つまり、

  • 通知テンプレート:通知方法や宛先など、実行する通知内容を定義する
  • 通知トリガー(ステータストリガー):どの条件でどの通知テンプレートを実行するかを定義する
    という役割になります。
通知トリガー設定で通知テンプレートを指定

ヒント:
通知トリガーには「閾値トリガー」という種類もあります。こちらを利用したしきい値監視も可能ですが、まずは制限値とステータストリガーの組み合わせによる監視を推奨します。なお、ステータストリガーと閾値トリガーは並行動作します。両方使用すると、アラート通知が重複する場合があります。

PRTGの「アラート通知」までの流れ

ここで、あらためてPRTGでアラートを検知してから通知するまでの流れを確認します。

  • センサーが監視を実行する
  • チャネルの制限値(しきい値)超過や、値の取得失敗などを検知する
  • センサーのステータスが「警告(黄色)」「ダウン(赤)」などに変化し、アラートが発生する
  • 通知トリガー(ステータストリガー)が、センサーのステータス変化を条件として通知テンプレートを実行する
  • 通知テンプレートに定義された通知方法や宛先で、アラート通知が行われる

そのため、PRTGでしきい値監視を行い、アラート通知を受け取るには、次の設定が必要になります。

  • センサーのチャネルに制限値(しきい値)を設定する
  • 通知テンプレートに通知方法や宛先を設定する
  • センサーの通知トリガー(ステータストリガー)を設定する

実際には、PRTGにはデフォルトで「ダウン」ステータスが600秒以上継続した場合に管理者へメール通知するステータストリガーが設定されています。
この設定は、各センサーへ自動的に継承されています。

後編では、制限値の設定、通知トリガーと通知テンプレートの設定、およびその調整方法について解説します。

【後編】~制限値・通知トリガー・通知テンプレートを設定する~

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