この記事では、ネットワーク監視ソフト「Checkmk」と株式会社パトライトの音声対応ネットワーク制御信号灯「NHVシリーズ」を連携する方法を説明します。
文:ジュピターテクノロジー とぐち
はじめに
パトライト製信号灯「NHVシリーズ」(以下、警告灯NHVと略記)は、テキスト情報から音声を生成し、リアルタイムで光と音・音声で報知することが可能です。ネットワーク監視ソフト上でエラーが発生した際に光と音でアラートを行うことで、監視管理者が画面やメール等を確認せずに瞬時にエラーの存在を認識することができます。
本記事では弊社取り扱いのネットワーク監視ソフトウェア「Checkmk」と連携し、リアルタイムで光、音、音声で報知するための設定手順をご説明します。
設定手順
警告灯NHVとCheckmkの設定手順を確認していきます。
警告灯NHVの設定
本記事では、Checkmkから「RSHコマンド」と「HTTPコマンド」を使って警告灯NHVを制御する方法をご紹介します。まずは警告灯NHV側で、この2つのコマンドで制御できるよう設定を有効化します。
RSHコマンド受信機能を有効化
警告灯NHVのWebGUI画面にログインし、左側メニュー「コマンド受信設定」を開き、図1赤枠を以下の通り指定します。
- RSHコマンド受信機能: 有効
- 共通ログイン名: 任意の文字列 (のちにコマンドの引数に使用)
入力完了後、画面右上[設定]ボタンをクリックし、保存。
これでRSHコマンドで警告灯NHVを制御できるようになりました。
HTTPコマンド受信機能を有効化
警告灯NHVのWebGUI画面にログインし、左側メニュー「本体設定>機能の有効化」を開き、図2赤枠を以下の通り指定します。
- HTTPコマンド制御: 有効
入力完了後、画面右上[設定]ボタンをクリックし、保存。
これでHTTPコマンドで警告灯NHVを制御できるようになりました。
Checkmkの設定
Checkmk側では、制御コマンドの作成と通知の設定を行います。
①コマンドラインでの準備
Checkmkでは、通知を設定する前にコマンドラインから事前にスクリプトの準備を行う必要があります。通知用シェルの作成と格納パスを説明します。
TeraTerm等を使用してCheckmkサーバーへログインし、以下のコマンドでサイトユーザーに変更し、シェルの格納パスへ移動します。
root@checkmk:~# sudo su – サイト名
OMD[サイト名]:~$ cd ~/local/share/check_mk/notifications
このパスに通知用シェルを作成していきますが、本記事では、Checkmkがクリティカル/ダウンを検知した際に活用できる、RSHコマンドとHTTPコマンドを使った2種類のシェルをサンプルとして作成します。
RSHコマンドを使って作成
RSHコマンドを使用したシェルスクリプトのテンプレートはこちらです。(<>は任意の文字列に読替え)
!/bin/bash
# <Checkmk WebGUI上の表記名称>
rsh <警告灯NHVのIPアドレス> ‐l <図1で設定した共通ログイン名> alert <値>
それでは、Checkmkがクリティカル/ダウンを検知した場合に、赤点灯+ブザー吹鳴させるシェルのサンプルを作成していきます。
保存し、実行権限が付与されているか確認してください。されていない場合はchmodコマンドで付与してください。
※パラメータに指定する値の詳細は、パトライト社公式ホームページより警告灯NHVのマニュアルをご参照ください。
HTTPコマンドを使って作成
HTTPコマンドを使用したシェルスクリプトのテンプレートはこちらです。(<>は任意の文字列に読替え)
#!/bin/bash
<Checkmk WebGUI上の表記名称>
curl “http://<警告灯NHVのIPアドレス>/api/control?&speech=<音声内容>&led=<値>”
それでは、Checkmkがクリティカル/ダウンを検知した場合に、赤点灯+音声で報知するシェルのサンプルを作成していきます。
保存し、実行権限が付与されているか確認してください。されていない場合はchmodコマンドで付与してください。
※パラメータに指定する値の詳細は、パトライト社公式ホームページより警告灯NHVのマニュアルをご参照ください。
②WebGUIで通知の設定
「①コマンドラインでの準備」が完了しましたら、CheckmkのWebGUIにログインしてください。
セットアップメニュー>”イベント”>通知 をクリックします。図5赤枠「ルールを追加」ボタンをクリックしてください。Checkmkでは、イベント発生時の条件に合わせて通知する設定をこの画面から行います。
「ルールを追加」ボタンをクリックすると、図6の画面に遷移します。
通常は赤枠「通知方法」のプルダウンではCheckmkにデフォルトで用意されている通知方法しか選択できませんが、独自の通知用シェルを作成し指定のパスに格納することで、新しい通知方法として認識され選択できるようになります。
作成したシェルに正しく実行権限が付与されていれば、図6赤枠「通知方法」のプルダウンから選択することができるはずです。シェル内で指定した<Checkmk WebGUI上の表記名称> で探し、選択してください。本記事では「Patlite RSH Error」という表記としました。
通知設定画面下部では、通知ルールとして通知用シェルを実行する条件を設定します。
図7赤枠のホストイベントタイプ、サービスイベントタイプのチェックを有効にし、シェルを実行させるイベントタイプを指定してください。
選択し終わりましたら、画面左上の「保存する」ボタンより保存してください。保存が完了すると、一覧上に設定した通知ルールが表示されます。
図8赤枠が、作成した通知ルールです。修正する場合は、赤枠内左の鉛筆のアイコンから変更することが可能です。
これで、Checkmkがクリティカル/ダウンなどのエラーを検知した際、警告灯NHVが赤い光とブザー音で報知してくれるようになりました。
HTTPコマンドを作成したファイルも同様の手順で追加することができます。HTTPコマンドで作成したシェルを通知ルールに設定すれば、警告灯NHVは音声でエラー検知を知らせてくれるようになります。管理者が迅速にエラーを判断することができるようになりますので、様々なメッセージを設定してみてはいかがでしょうか。
補足:テスト方法
テストを行う際は「フェイクチェック」機能を使用します。疑似的に結果を返す機能で、変更した通知ルールを確認したい場合にとても便利です。フェイクチェックの詳しい使用方法は「Checkmkユーザーガイド 14.7.1 フェイクチェック」 をご確認ください。
お問い合せ
本記事ではCheckmkのエラー検知と警告灯NHVとの連携を説明しました。エラーが発生した際に光と音、音声でアラートすることで、監視管理者が画面やメール等を確認せずにエラーの発生を認識できます。貴社の迅速なネットワーク監視に本記事の情報をぜひご活用ください。
Checkmkにご興味のある方は、以下リンクよりいつでも弊社までお問い合わせください。
30日間無償でご利用いただける評価版も以下のダウンロードリンクにご用意しております。簡単に検証ができますので、ぜひお試しください。