この記事では、SaaSタイプのネットワーク監視ツールである「PRTG Hosted Monitor」を使用して、クラウドからネットワーク監視を行う実際の様子を、画像と共に紹介します。
文:ジュピターテクノロジー やすだ
※この記事に掲載されている商品またはサービスの名称等は、各社の商標または商標登録です。
はじめに
「PRTG Hosted Monitor(以下、PPHM)」は、評価の高いネットワーク監視製品「PRTG Network Monitor(以下、PRTG)」のクラウドサービス版です。サービス契約するだけで、AWS(日本リージョン)上のPRTGを利用し、ネットワーク監視を開始できます。
アーキテクチャ
PPHMのアーキテクチャをかんたんに紹介します。
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PPHMコアサーバー
AWS上にはメーカーが提供するPPHMコアサーバー(監視サーバー)があります。このコアサーバーのWebインターフェイスにブラウザからアクセスすることで、監視の設定や確認が可能です。
コアサーバーには「Hosted probe」と呼ばれる監視エンジンが組み込まれており、AWS上からインターネット経由でアクセス可能なWebサイトやサービスを監視できます。
LANの監視には「リモートプローブ(追加監視エンジン)」
LAN内にリモートプローブ(追加監視エンジン)を配置することで、PPHMを使用してLAN内を監視することが可能になります。リモートプローブは監視設定をコアサーバーから取得し、LAN内の監視を行い、その監視データをコアサーバーに送信します。※リモートプローブをインストールするPC・サーバーが必要です。
詳細はPPHMの製品ページもご確認ください。
PRTGをクラウドに構築する場合
SaaSを利用せずに、PRTGをプライベートクラウドなどに構築する場合は、こちらのブログ記事「監視サーバーをクラウドにインストール?それとも、クラウドサービス?【PRTGの場合】」もご覧ください。
実際の画面で監視の様子を紹介
ここからは実際のPPHMの操作画面で監視の様子を紹介します。
クラウド上のPPHMにログイン
クラウド上のPPHMにログインします。ブラウザでPPHMのURLにアクセスし、ユーザー名とパスワードでログインします。多要素認証(Google Authenticator)も利用可能です。
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専用のAndoroid/iOSアプリやクライアントアプリも利用できます。インターネットがあれば、どこからでもアクセスできるのは、クラウドサービスの大きなメリットです。
ログイン後には、現在の監視状況をまとめた「ようこそ画面」が表示されます。
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ようこそ画面の代わりに、独自のダッシュボードを表示することも可能です。
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階層構造で管理
PPHMでは階層構造で監視対象(デバイス)や監視項目(センサー)を管理しています。
拠点、建屋、役割などでグループや階層を作成することで、どこで何を監視しているかを把握できます。エラーを検知したセンサーは赤や黄色に変わり、色でアラートを確認できます。
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グループは開閉できます。閉じるとグループ配下の情報を集約して表示できます。
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階層構造では、上位の設定を下位に引き継ぐことが可能です。
例えば、特定の建屋で停電が予定されている場合、その建屋オブジェクトに監視の一時停止設定をスケジュールすれば、その建屋配下のすべての監視を一括で一時停止できます。
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リモートプローブで分散監視
LAN内の監視を行うためには、リモートプローブ(追加監視エンジン)を設置します。複数の拠点にそれぞれリモートプローブを配置することで、分散監視も可能です。PPHMを利用して一元管理することができます。
複数のお客様のネットワークを管理している場合は、各お客様ごとに専用のリモートプローブを用意します。特定のリモートプローブ配下のみ閲覧可能なユーザーを作成することも可能です。
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※リモートプローブはインターネットに接続できる必要があります。
※リモートプローブからPPHMへの通信には、デフォルトでTCP23560を使用します。
※リモートプローブとPPHM間の通信は暗号化されます。
※リモートプローブについてはPRTG専門サイトのマニュアル翻訳記事もご参照ください。
【マニュアル翻訳】リモートプローブと複数プローブ
デバイスとセンサー
PPHMでは、監視対象をデバイスとし、その監視項目をセンサーとして登録します。センサーには監視設定が事前に定義されていますので、選択するだけで監視を開始できます。また、デバイスやセンサーは自動検出することも可能です。
センサー例を紹介します。
Pingセンサー
Ping監視を行うセンサーです。もし通信が失敗した場合、センサーは「赤」に変化してアラートを示します。同時に、応答時間やパケットのドロップ率も監視します。過去のデータはログやグラフで確認することができます。
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SNMP トラフィックセンサー
各ポートのトラフィック量を監視するセンサーです。定常的にトラフィック量を監視し、2時間、2日、30日、1年などのグラフを即座に確認できます。任意の時間帯でのレポート作成も可能です。さらに、「帯域使用率が90%を超えた場合にアラート」などのしきい値監視も行うことができます。
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オプションを設定により、破棄パケットやエラーパケット、マルチキャスト、ブロードキャストの監視も可能になります。
300種類以上のセンサー
その他にも、様々なセンサーがあります。リソース監視、ハードウェアステータス監視、サーバー、ネットワーク機器、データベース、仮想基盤など、ネットワーク上のさまざまな要素を監視することができます。いくつかのセンサーの画面を紹介します。
センサーは統一感のある監視画面を持つため、監視状況を確認する際に迷うことがありません。また、設定されたしきい値も直感的に把握できます。
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ハードウェアのステータス監視では、ハードウェアの状況に応じてセンサーのステータスが変化します。
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センサーで監視できる内容については、PRTG Network Monitorの製品ページでご確認いただけます。
アラート
センサーはエラーを検知すると、赤や黄色にそのステータスを変えてアラートを発します。各ステータスごとのセンサーを一覧で確認したり、ステータスの変化履歴をログで確認することができます。また、色ごとのセンサー数は常にWebインターフェイス画面の右上に表示されており、それをクリックすると即座にリストで確認できます。
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通知
Ping疎通不可やしきい値超過、ハードウェア故障などのエラーが検知された際に、管理者に通知できます。PPHMはクラウドメールサービスを介したメール通知設定が事前に設定されており、迅速にメール通知を受け取ることができます。
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通知メールのリンクを経由して、Webインターフェイスにログインしたり、アラートを停止するなどの操作を行うことができます。
専用のAndoroid/iOSアプリへのプッシュ通知も可能です。また、TermsやSlackなどへの通知も簡単に設定できます。
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監視設定
グループ、デバイス、センサーの設定は直感的にGUIで行えます。IPリストやセグメントを指定してデバイスやセンサーを自動的に検出することも可能です。
監視対象の種類を識別し、適切なセンサーを自動的に追加します。詳細については、こちらのブログ記事「【Ping死活監視】PRTGで「かんたん」にはじめる!」もご覧ください。
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履歴データ、レポート
センサーが取得した監視データは生データとして365日間保存されます。
このデータを利用してレポートを作成し、PDF形式でメールに添付して送信することができます。csv形式のデータファイルを同時に出力することもできます。
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バージョンアップ、メンテナンス
PPHMコアサーバーはメーカーによって保守されます。サーバーのメンテナンス、バックアップ、バージョンアップはすべて自動で行われます。
まとめ
PPHMはSaaSタイプのネットワーク監視サービスです。AWS上に設置された監視サーバーはメーカーがホスティングしており、クラウド・サーバー・ソフトウェアの調達が不要ですので、すぐに監視を始めることができます。
PPHMはPRTGのほとんどすべての機能をクラウドから利用できます。PRTGの定評あるネットワーク監視を、クラウド上からご利用いただけます。