この記事では、クラウドからネットワーク監視を行う場合に関する以下の2つのケースについて情報を提供します。1:「監視サーバーをクラウド上にインストールする」、2:「クラウドサービスを利用して監視を行う」。
文:ジュピターテクノロジー やすだ
※この記事に掲載されている商品またはサービスの名称等は、各社の商標または商標登録です。
はじめに
クラウドは現在、ネットワークに欠かせない存在となりつつあります。
特にクラウドとオンプレミスを組み合わせたハイブリッドクラウド環境は注目されています。このような環境では「クラウド」と「オンプレミス」が相互に通信するため、ネットワークの監視が不可欠です。ハイブリッドクラウド環境におけるネットワーク監視を考えた場合、次のような疑問が生じるかもしれません。
「監視サーバーをクラウドにインストールできるのか?」
またはこういった疑問もあります。
「クラウドサービスを使ってネットワーク監視は可能なのか?」さらに、
「クラウドサービスでオンプレミスのネットワークを監視できるのか?」
この記事では、当社が取り扱うネットワーク監視ソフトウェアである「PRTG Network Monitor(以下、PRTGと略記)」を例に挙げ、これらの疑問に答えていきます。
監視サーバーをクラウドにインストールできるのか?
ほとんどの場合、インストールが可能です
重要な点は「監視サーバーと監視対象機器が、監視に使用するプロトコルで通信できること」です。
主要な監視プロトコルは監視サーバーから監視対象機器へのリクエストを送り、対象機器からのレスポンスで監視データを収集します。クラウド環境とオンプレミス環境がVPNや専用線で接続されている場合、ほとんどのケースで通信は可能です。
このような場合、クラウドにインストールした監視サーバーから、クラウドとオンプレミスの両方の監視対象機器を監視できるはずです。
ただし、ファイアウォールやセキュリティによって一部の通信が制限されていることもあります。ご利用の環境で、Ping、SNMP、WMI、HTTP(S)などの主要な監視プロトコルの通信が許可されているかを事前に確認しておくことが重要です。
※SNMPトラップやSyslogなど、監視対象機器から監視サーバーへの方向で通信を開始する監視プロトコルもあります。
たくさんのユーザーがPRTGをクラウド上にインストールし、ハイブリッドクラウド環境を監視しています。PRTGはWindows環境さえあれば利用可能であり、Windowsが稼働する仮想マシン(VM)をクラウド上に用意するだけで、すぐにインストールできます。
VPNで接続できない場合
クラウド環境とオンプレミス環境がVPNで接続できない状況を考えます。
オンプレミス環境とのVPN接続が確立されていないパブリッククラウド上にPRTGをインストールした場合、PRTGからオンプレミス環境への監視リクエストを送信することはできません。このような場合、クラウド上のPRTGが監視できるのは、インターネットで公開されている監視対象(たとえば、Webページやサービス)に限られます。
ただし、オンプレミス環境に「リモートプローブ」を追加設置することで、監視できるようになります。リモートプローブはWindows上で動作するPRTGの追加監視エンジン機能であり、追加費用なしで利用できるPRTGの標準機能です。
オンプレミス内にリモートプローブサーバーを用意し、オンプレミス内の監視対象機器を監視します。
リモートプローブが収集した監視データはインターネットを通じてパブリッククラウド上のPRTGへ送信されます。PRTGのWebインターフェイスにアクセスすれば、オンプレミス内の監視結果を確認できます。
また、クラウド上のPRTGからMicrosoft 365やG-Suiteを経由したメール通知や、PRTG専用のiOS・Androidアプリへのプッシュ通知も可能です。
※リモートプローブはインターネットに接続できる必要があります。
※リモートプローブからPRTGへの通信には、デフォルトでTCP23560を使用します。
※リモートプローブからPRTGへの通信は暗号化されます。
※リモートプローブについてはPRTG専門サイトのマニュアル翻訳記事もご参照ください。
【マニュアル翻訳】リモートプローブと複数プローブ
サポートするインスタンスタイプ
メーカーブログでは主要クラウドサービス(AWS、Azure、GCP)におけるPRTGをインストールする際のインスタンスタイプの例を紹介しています。
How to deploy PRTG Network Monitor in AWS, Azure and GCP
クラウドサービスを使ってネットワーク監視は可能なのか?
はい、可能です。PRTGには「PRTG Hosted Monitor(以下、PPHMと略記)」というクラウドサービスが提供されています。このサービスでは、メーカーがAWS(東京/大阪リージョン)にPRTGサーバーを用意し、ユーザーはクラウドサービスとしてPRTGの監視を利用できます。
ただし、PPHMは上述の「VPNで接続できない場合」と同じ構成となるため、オンプレミスの監視にはリモートプローブが必要になります。
PPHMでは、メーカーがPPHMコアサーバー(PRTGサーバー)をホスティングします。そのため、次のような利点があります。
- すぐに監視を開始可能
サービスを契約するとすぐに監視を開始できます。
クラウド、サーバー、OS、PRTGの調達やインストールが不要です。 - メンテナンス不要での監視
AWS日本リージョン(東京/大阪)の仮想サーバーをメーカーが保守します。
自動バックアップやアップデートが自動的に行われるため、安心して利用できます。
その他、PPHMの情報は製品ページもご覧ください。監視はクラウドから。メンテナンス不要のクラウド版PRTG|PRTG Hosted Monitor
まとめ
クラウドからネットワーク監視を行う際の、PRTGをクラウドにインストールしての使用と、クラウドサービスであるPPHMを利用した監視について紹介しました。
PRTGなら、クラウドから、サーバー、ネットワーク機器、仮想環境、すべてを一元監視できます。トライアル版、フリー版もございます。オールインワンネットワーク監視PRTGをぜひお試しください。